消防用設備等の点検・報告は防火対象物関係者の義務です
定期点検報告制度(消防法第17条の3の3)
消防用設備等及び特殊消防用設備等は、いつ火災が発生しても確実に機能を発揮するものでなければなりません。
このため、消防法では、消防用設備等又は特殊消防用設備等の設置義務がある防火対象物の関係者に対し、その設置した消防用設備等又は特殊消防用設備等を定期的に点検し、その結果を消防機関へ報告することを義務づけています。
点検実施者
消防用設備等又は特殊消防用設備等を点検するためには専門的な知識・技能を必要とします。このため、防火対象物にあっては、有資格者(消防設備士又は消防設備点検資格者)に点検を行わせることとされています。
有資格者に点検を行わせなければならない防火対象物は、次の通りです。
①延べ面積1,000㎡以上の特定防火対象物
②延べ面積1,000㎡以上の非特定防火対象物で消防長又は消防署長が指定したもの
③特定用途に供される部分が避難階又は地上に直通する階段が2つ(屋外に設けられた場合又は避難上有効な構造を有する場合にあっては、1つ)以上設けられていないもの
上記以外の防火対象物は、防火管理者等でも点検することができますが、専門的な知識・技能を有する有資格者に点検させることが望まれます。
点検の内容と点検の期間(平成16年消防庁告示第9号)
点検は、6月ごとに行う機器点検と、1年ごとに行う総合点検とに分けて行います。
なお、特殊消防用設備等にあっては、設備等設置維持計画によります。
点検結果の報告(消防法施行規則第31条の6第3項)
点検の結果は、所定の様式に記入し、特定防火対象物にあっては1年に1回、その他の防火対象物にあっては3年に1回消防機関へ報告しなければなりません。
点検・報告義務のある人
消防用設備等又は特殊消防用設備等の設置義務があるぼうかた防火対象物の関係者(所有者・占有者・管理者など)
罰則(消防法第44条第11号・第45条第3号)
点検結果の報告をしない者、又は虚偽の報告をした者は、30万円以下の罰金又は拘留の刑に処せられるとともに、その法人に対して罰金刑が科せられます。
点検済表示制度(平成8年消防予第61号)
消防法に基づく消防用設備等の適正な点検の実施を推進するために、点検実施者の責任を明確にし、防火対象物関係者等による点検制度の確実な履行を促進することなどを目的とした消防用設備等点検済表示制度が、平成3年5月から全国統一的に実施されております。
この制度は、都道府県消防用設備協会が、適正な点検を行う意思及び能力があるとして登録(登録申請→審査→承認)した点検事業者等に対してラベルを交付し、点検事業者等は、点検を適正に行った証として消防用設備等にこのラベルを貼付するものです。
平成18年4月からは、ラベルが貼付されている場合には、点検結果報告書の添付書類の省略や消防機関による立入検査時の確認事務の簡素化などが図られております。
点検から報告までの流れについて
消防法により消防用設備等を設置することが義務づけられている防火対象物の関係者(所有者・管理者・占有者)は、その設置した消防用設備を定期的に点検し、その結果を消防長又は消防署長に報告する義務があります。
消防用設備等は、特殊なものであり、消防用設備等についての知識、技能のない者が点検を行っても、不備欠陥が指摘できないばかりか、かえって消防用設備等の機能を損うことも考えられます。
そこで、防火対象物の規模や消防用設備等の内容により、火災発生時に人命危険の高い特定防火対象物等でその規模が大きい対象物については、消防設備士又 は消防設備点検資格者に、その他の規模の小さい防火対象物については、防火管理者等に点検を行わせることとされています。
消防用設備等は、いついかなる場合に火災が発生しても確実に機能を発揮するものでなければならないので、日ごろの維持管理が十分に行われることが必要で す。このため、消防法では消防用設備等の点検・報告ばかりではなく、整備を含め、適正な維持管理を行うことを防火対象物の関係者に義務づけています。